初めて技術同人誌を書いたので、その過程とか反省とか整理

小ネタ・ポエム
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どうでもいいが、このブログのタイトルは「むちむちぽぽ」という。

「むちむちぽぽ」というのは私が作り出した造語で、「むちむちしててかわいい乳児」を意味する。

自分の息子が0歳児後半ころ、手やほっぺたのむちむち感とか全体的にぷっくりしててかわいい感じを言葉で表現しようとしたら、自然と「むちむちぽぽ」という言葉が浮かんできた。
それがこのブログの始まりともいえる。

で、本題に進むと、最近人生で初めて技術同人誌を書いてみたので、いろいろと振り返って反省とかをまとめてみる。

ちなみに作った同人誌は以下。
Windowsのメモリデータ解析に関する本だ。

Volatility3で始めるメモリフォレンジック入門 - muchipopo - BOOTH
デジタルフォレンジック技術の一つ「メモリフォレンジック」に関する入門書です。 環境構築方法から実際の解析構文、ちょっとした応用的テクまで記載しています。(全136ページ)

技術同人誌とは

読んで字のごとく技術に関する同人誌だ。

コミケとかコミティアとかで売られている同人誌と一緒で、自分で作って自分で出版して売るというもの。出版社を通さないので、自分の思うとおりに好き勝手に作ることができる。
有名な同人作家としては、福沢諭吉さんという人がいる。

なぜ作ろうと思ったのか

IT系の技術同人誌市場は傍目に見ていてもかなり盛況で、技術書典という同人誌即売会が半年に1度開かれている。
また、Boothという同人誌販売プラットフォームでは、ポピュラーな技術からニッチなツールまで様々な同人誌が販売されている。

技術書典:技術書オンリーイベント
新しい技術に出会えるお祭りです
BOOTH - 創作物の総合マーケット
BOOTH(ブース)とは、pixivと連携した、創作物の総合マーケットです。無料で簡単にショップを作成でき、商品の保管・発送代行サービスも提供しています!

私自身もこれらで技術同人誌を購入して業務の参考にしたり、シンプルに趣味として読んでいたが、ほんとに規模感から内容まで様々なものがあり、自分でも作れるかもしれんなぁ・・・じゃあやってみたいなぁ・・・と。
あと、単純に文字を書くのも好きということもある。(だからブログなんて書いてる)

作成環境

ド素人なので、とりあえずはこちらの本でお勉強。
最終的にRe:view5.4を使用した。

自身で環境を作ることも可能なようだが、Dockerコンテナも使えるのでそちらで環境用意した。

コマンド一発でインストールできるので楽ちん。

GitHub - TechBooster/ReVIEW-Template: TechBoosterで利用しているRe:VIEWのテンプレート(B5/A5/電子書籍)を公開しています
TechBoosterで利用しているRe:VIEWのテンプレート(B5/A5/電子書籍)を公開しています - GitHub - TechBooster/ReVIEW-Template: TechBoosterで利用しているRe:VIEWのテンプレート(B5/A5/電子書籍)を公開しています

Re:viewを使えば、テキストファイルをコンパイルしてPDF文書を簡単に使える。

記法を覚える必要があるが、リファレンスも充実しているのでやっていけばすぐに覚えられることだろう。

また、文章の作成に使うテキストエディタは何でもよいが、私はVisualStudioCodeを利用。
Re:view用のプラグインもあり、これを使うと構文エラーを自動で抽出してくれるので大変便利だった。

また、TwitterでRe:viewについて「ここがわからんなぁ」とつぶやいていると、製作者が降臨してアドバイスをくれるなど、OSSのヌクモリティを実感。ほんとありがとう。

製作期間

今回の技術同人誌は140ページほどで、素人の同人誌としてはまぁまぁ大きい方。

1日平均2時間ほど費やし、約2か月でβ版が完成。
その後1月ほど査読と修正、表紙の外注を行い、最終的に約3か月で完成した。
費やした工数を合計すると、おおよそ20人日くらいか?
この間、使用ツールの検討やRe:viewの導入など検討や環境作成もあったため、次回はもう少し早く作れると思う。

作成の流れ

あまり大したことはやっていないが、一応段取りを考えて進めた。

大まかな流れは以下のとおり計画。

  • コンセプトの整理
  • 章立てなどの構成考案
  • 各章の文章作成
  • 推敲
  • 査読依頼
  • 加筆修正
  • 表紙作成

全体的な進め方などはこちらを参考にさせてもらった。

技術同人誌の執筆手順まとめ - Qiita
はじめにこの記事は、これから「技術同人誌」をはじめて執筆したい方に向けて、拙いながら私の経験をもとに執筆手順をまとめました。技術ブログにも共通する点がたくさんありますので、ぜひお読みください。執…

コンセプトの整理

初めはコンセプトを整理する必要がある。

どんな人を対象とするのか、何を伝えたいのか、そして読み終わってどうなってほしいのかなどを具体的に言葉にしてイメージを作る。
このイメージづくりにあたっては、例えば現在の同僚、過去の自分にこの知識を伝えたらどうなるか?と自問自答して進めた。

構成の決定

Xmindのようなマインドマップツールを使って構成を練る。

Xmind のマッピングソフトウェア
Xmindは、仕事とライフスタイル両方の効率化を図るため、アイデアを生み出し、創造性を刺激するように設計された、マインドマッピングおよびブレーンストーミングツールです。

今回は全6章の構成で、各章の項目やそこで伝えること、どんな画像を付けるかをイメージしていく。

こういうのは、作っていく最中にどんどん変わっていくので、とりあえずβ版という気持ちでやってみたた。

各パーツの肉付け

パラグラムライティングを意識してひたすら書いていく。

どうせ書いて自分で推敲しまくったとしても、ザコ文章にしかならないのでとりあえず書き終わることを目標にガンガン進める。

アメリカの偉い人も言いました。とりあえず終わらせることが大事と。

推敲

全体をとおして書き終われば、推敲しつつお直しをしていく。

通勤電車の中でチマチマ読んで、気づいたところをメモしていく日々。

査読依頼と修正

ある程度形になったら、誰かに査読を依頼する。
自分で書いた技術文章なんて怪しくて読めたものではない。
ましてやそれを人に読ますなんて、あとでどんなマサカリが飛んできて引き裂かれるからわかったものではない。

実は当初、こういうのはお金を払ってやってもらうものだと思ってココナラやクラウドワークスで「誰かーお金払うんでやってくれませんかー」と募ってみたが、応募者ゼロ。
案件を閲覧してイイネみたいなボタンを押してくれたのが1人いた程度。

「あぁ、サイバーセキュリティ業界は狭い世界だったんだ・・・メモリフォレンジックの査読をしてくれる人なんて誰もいない・・・」
そう絶望した・・・

だが、私は諦めなかった。

最後の希望・・・ネット・・・SNS・・・そうだ、Twitterで募集をかけよう・・・もしかしたら誰か助けてくれるかもしれない!

なんと多くの方がRTを!
そして複数名の方々から「やりまっせ」とご連絡。

ありがたや、ありがたや。

そして出来立てホヤホヤのクソボロ文章を査読添削していただき、修正して本文が完成。(ここまで3か月)

表紙の作成

自慢ではないが、私は美術の成績で4以上をとったことがない。
期末テストで100点を取り、科目の偏差値65overだったにも関わらず、成績は3だった。

よってココナラで表紙を外注した。
自分でやったって胸糞悪い同人誌になるのが目に見えていたからだ。

イメージとしては、

  • 金髪美少女
  • おてんばやんちゃ系
  • だけど一応魔法少女だから戦っちゃうぞ?
  • 某ランスシリーズの10作目に出てくるナギ・ス・ラガールみたいなイメージかなぁ(ょぅι゛ょ版と大人版の中間くらいの年齢がいいかも???)
  • 好きな衣装は魔法少女リリカルなのはThe Movie 2’ndの高町なのはさんの戦闘モードなんだよなぁ
  • あ、でもちょっと戦姫絶唱シンフォギアの悠木碧ちゃんキャラの装備みたいなゴツっぽさもほしいかもなぁ

みたいな感じでご注文。(私は水樹奈々さんのファン歴20年である。)

そして作っていただいたのがこちら。

おお、いい感じ!

完成

表紙ができればRe:viewでコンパイルして完成。
PDF版を作ってBoothで公開。

後日紙版も20部ほど印刷して出品してみると、すぐに完売。
ただし、発送期日を短くしていたため、午後10時に仕事が終わった後、職場周りのコンビニを回ってネコポス段ボールを買い漁り、妻と夜なべして梱包することになったのでちょっと辛かった。

実際にやってみて得られたもの

本を書くことの難しさを実感

「このコマンドを押したらこういう結果が出てきます」みたいな明らかなことはともかく、メモリフォレンジックとは何なのかとか、証拠保全とは何のためにするのかというような堅苦しくも抽象的な内容を文字にすることの難しさを改めて認識した。

自分の頭の中である程度筋道立てて考えられることでも、それは多くの要素が複雑につながったうえで腹落ちしているものだ。
これを簡潔に文章にしようとすると、「どこまで広げて書いたらいいんだろう」「読者の知識をどのレベルと想定するか」など疑問が尽きず、簡単に文字にできない。
世の中の文筆家達がいかに苦心しているのかがよくわかった気がする。

また、ブログと違って後から修正が難しいので、いかに誤りをなくすかというところにもかなり気を遣う。
自身が持っているありったけの知識を書き出してしまうと、ウソがたくさん混じってしまう。
そのため、「ここまでだったらほぼ確実に正しいと言える」といラインを自分の中で設け、本の内容をその範囲に絞る必要もある。
このあたりは「いろいろ書きたい」の気持ちと「マサカリこわぃょぉ」のジレンマだ。
いい塩梅で折り合いつけるしかないだろう。

知識の整理

ひととおり作り終わって、何名かの方に推敲をお願いした。
すると、考え漏れや記載漏れがたくさんあることに気づける。
例えば、

  • USBメモリをFAT32のままにしてたら、そこにメモリダンプ保存できない(最大ファイルサイズ4GB)
  • IRでのトラブル例(セキュリティソフトによりUSBメモリ読み込めない・書き出せない)
  • データの揮発性の順序ってRFCにあったよね

などなどいろいろだ。

どれもどこかで聞いたことがあったり、そもそも体験して知っていたはずなのに、文字を書いていて自然と出てこなかった。
ということは、その知識が脳内で隅っこの方に追いやられていたということだろう。
自身の知識整理としても有益だった。

うまくいかなかったこと(反省点)

対象読者のレベル想定ミス

弊同人誌の最初には以下のように対象読者を記載していた。

  • Windows に関する基本的な操作を行うことができる
  • Linux に関する基本的なコマンドライン操作を行うことができる
  • IPA 基本情報技術者試験に合格できる程度のコンピュータ知識を有している

ただ、メモリフォレンジックはセキュリティ界隈でもニッチな知識であり、これをわざわざ知ろうということはおそらく支援士相当以上の知識を持っていたり、そもそも一定程度以上のサイバーセキュリティ知識のある人に限られるだろう。

しかし、文内では前述の対象読者像をマジで想定して、VirtualBoxのインストールから仮想マシンの作成、共有フォルダの設定まで細かくスクショをつけて説明してしまっている。

いや、いらんやろ。

そう、フォレンジックに興味のある方であれば、このくらいは既に経験済みであったり、問題があってもググって自己解決できるはず。
つまり、当初の想定読者と実際の読者のレベル感にギャップがあったということ。
これは大きなミスだったと思う。無駄に印刷費がかさむから。

段取り

段取りにおけるミスがあった。

一つは表紙を外注するタイミング。
作るにはそこそこ時間がかかるので、ある程度骨子と肉付けができたところで発注してよかった。
あんまり頼むのが早すぎると、作成断念リスクがあるのでそこは要注意だが。

もう一つは査読のタイミング。
今回は複数名の方に査読をお願いしたが、初期のズタズタクソボロ状態で一気に皆さんに依頼してしまった。

そうなると、査読結果での重複も出てくるので、このあたり考慮が必要だったなと思う。

まとめ

初めて技術同人誌を作ってみたが、総じてやってみてよかったと思う。

そこそこハードルの高いアウトプットになるので、緊張感をもって取り組むことができて知識の整理にも役立つ。
転職活動のポートフォリオにもなる可能性がある。(あるのか??)

面白かったので、また何らか作っていきたいと思う。
次は対話篇にしてみたいかも。

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